「仙腸関節の治療は、ダイエットにも効く?!」 記事元:ペインクリニカルセンター
この数年来、マスコミを通して良く耳にするようになった言葉に「骨盤ダイエット」と言うものがあります。本屋さんに行きましても、健康書のコーナーでかなりのスペースを取って色々な種類の本が置かれているのを目にすることがあります。
本を手に取って中味を見たり、ネットのHPで内容を見ることがあるのですが、殆どに共通しているのは「骨盤矯正」「骨盤のストレッチ」でしょうか。O脚矯正とダイエットを組み合わせていると言うのが定番のようです。
一番笑ってしまうのが、「骨盤の開き」「骨盤のゆるみ」「骨盤のずれ」などと表現しているところでしょうか。
AKAの治療に携わり、毎日患者さんの体を治療している立場からしますとこうした言葉を見た途端に吹き出してしまうのですが、一般の読者の方々は意図も簡単にそう言うものなのだと信じてしまうのだろうと思います。
仙腸関節は、関節内でせいぜい1〜3ミリ動くかどうかです。人によっては、コンマ何ミリの世界です。
そのようなものを、外から体を見ているだけでどうして、「開いている」「ゆるんでいる」「ずれている」などと評価出来るのでしょうか?殆どが、股関節の状態に惑わされているのだろうと思います。
その股関節jも、仙腸関節のコンマ何ミリの世界にもの凄く左右されるのですから、言っている事の意味がさっぱり分からないのです。
腰痛の原因を「背骨がずれている」「腹筋背筋のバランスがおかしいから」「運動不足」「姿勢が悪いから」と言っているのと全く変わらない馬鹿馬鹿しい言葉でもあるのです。
更に、驚愕してしまう事があります。
「骨盤が開くと、内臓が下に落ちてきてポッコリお腹になってしまう。」
と、解説されている事が良くあるのです。
開いた口が塞がらないとはこの事です。
基礎医学を知っているだけでも、この様な馬鹿げた漫画チックな話が存在する訳が無いことが分かります。胃や腸の様な臓器は、大網や小網と言う袋の中に格納されており、体の中でぶら下がっている状態のものなのです。複雑な動きがし易い様に出来ているのです。簡単に開く筈も無い骨盤が開いて?尚且つ、開いた骨盤の中に内臓が落ちて来て?お腹が膨らむ?
正確な医学知識のある人間が言える様な事ではありません。
人を脅して、不安にさせる事だけが目的なのだろうと思います。
何年何月何日に、富士山が爆発するとか、大地震が来ると予言している連中となんら変わりない愚かしい行為だという事をご理解ください。
まず、こうした話をもっともらしくしている人達の殆どが、素人同然の方達だと言うことをお知りおき下さい。
一般の読者の方々となんら変わらない立場の方が、もっともらしい事を言っているだけなのです。
骨盤の治し方と称して何か施術らしきことをやっている写真が出ているケースもありますが、昔から良く行われて来ている整体やカイロの手法と何ら変わらない事をやっているに過ぎません。
骨盤周囲の筋肉や股関節周囲の筋肉を緩めて、一時的に体の見た目が整ったかのように思わせているだけのことです。全身を丁寧に指圧しても同じような事は十分に起こりうることですし、筋肉レベルを緩めるための様々な手法を使えば同じような現象はいくらでも起こせるのです。
ただ、骨盤周囲を刺激して血流を良くすることを頻繁に行いますと、代謝が一時的に上がってそれが、ダイエットに繋がることは全く無いとは言えません。その程度のことでしたら、自分でも出来ることですしわざわざ人にやって貰う必要も無いと思うのです。指圧の本当のプロの方に、しっかりと全身指圧をして頂く方が遙かに意味があると思いますし、テクニックも遙かに上だと思いますから安全だと思います。
「骨盤ダイエット」と言う、ネーミングの妙と言いますか、聞き慣れない言葉を使い、体の局所に絞った手法を宣伝することで「何か新しい健康法かしら?簡単に痩せられるかしら?」と思わせることに成功した商売だろうと思うのです。
本当の骨盤の治療をしようと思うと、仙腸関節のコンマ何ミリと言うような繊細な治療を、特別な医学的な治療技術と特別な感性を使っておこなうことが本当の治療法だ。と言うことなど知るよしもない素人の方達が相手ですから何とでも言いくるめてしまう事が出来る為に出来てしまうことなのでしょう。患者さん側はもちろん何の知識も無いわけですから、信じて行ってしまうのだろうと思うのです。
いとも簡単に出来ることであるかのように「骨盤を本来の状態に戻すことで、全身の骨格や筋肉、体の機能を正常な状態に戻すことが出来るのです。」ともっともらしいことを言っているのが、実に愚かしくもあり、腹立たしくもあり、患者さんが気の毒でならないのです。
ダイエットに関する情報が氾濫している時代です。
努力せずに簡単に痩せたいと言う思いが、様々な本当らしい情報の罠に引っかかってしまう原因でもあろうと思います。しかしながら、肥満に関する問題は、遺伝的な要素も絡んでいることですから何かをしたから簡単に痩せると言う単純な方程式はあてはまらない世界でもあるのです。
ただ、一つ言えることは、体の代謝を上げるような適切な手法を取ることで、放っておいても自然にその方のあるべき姿にまで痩せて戻ってくると言うことはあるのではないかと思える経験を私も何度もしてきております。
そうしたことが起こりうると言うことが、治療として毎日取り組んでいますAKAの治療にも大きな可能性が有ると言うことなのです。
そんな実例をお知らせしたいと思います。
Tさん(40代) 男性 都内在住
始めていらした目的は、「腰痛」で悩んでいると言うことでした。
この数年来、慢性的な腰痛で何をするにもおっくうになってしまうような状態が続いており、仕事にも差し支えるようになり大変困っているとのことでした。
背は、170センチそこそこの方でしたが、少し太りすぎかな?と言うくらいふっくらした体型の方でもありました。
早速に、AKAの治療を始め初回の治療でかなりの効果を実感してくださることが出来ました。
「何だか、体全体がすっきりしてホッとした感じがします。腰も楽ですね。」とおっしゃっていたのです。
2週間おきに3回治療をした後、Tさんがおっしゃったのです。
「先生、一つお聞きしてもよろしいですか?」と改まっておっしゃるのです。
「え〜、私で答えられることでしたら何でもどうぞ?」と言いますと・・・・
「この治療は、ダイエットにも効果があるんでしょうか?」と真顔でおっしゃるのです。
「う〜〜ん、そうですね・・・ダイエットを標榜してやっている訳ではありませんが、仙腸関節をきちんと治していますと代謝が良くなりますから自然に痩せていくと言うことは良くあることですよ。今までにも、そう言う患者さんを沢山拝見して来ましたから。」
「え〜〜、やっぱりそうですか。いやね、この一ヶ月半先生の所に通うようになって体重が8キロちょっと落ちたんですよ。周囲の方からもどうしたの?と言われるくらい変わったんです。」とおっしゃるではありませんか。
確かに、3回目にお会いした時に、治療をしていて「あれ?少しお痩せになったかな?」と私も感じてはいたのです。
腰痛の方は、すっかり良くなられてしまって「嘘みたいに腰が軽いです。」と喜んでおられるのです。
「Tさん。腰は凄く良くなりましたよね。気持ちもすっきりされたんじゃないですか?今まで、腰の痛みから来るストレスでつい食べ過ぎたり、飲み過ぎたり、熟睡出来なくて睡眠不足であったりしていたと言うことは無いでしょうか?」とおたずねしますと。
「先生。まさにその通りですよ。そうだ!言われてみれば以前のように沢山食べなくなりましたし、お酒もあまり飲まなくなりましたね・・・・・夜も熟睡出来るようになりました・・・・そうか、それかもしれませんね。腰の問題が体全体に問題を起こしていたんでしょうか・・・・・。それで、体重が必要以上に増えてしまっていたと・・・・。そうか。なるほど。」としきりに頷いておられます。
「もちろん、仙腸関節を正確に治したことで、体全体の代謝も上がったと言うこともあるでしょうから、様々な要因が相乗効果で自然に痩せるべくして痩せたと言う事ではないかと、私も今までの経験から思うのですが。おそらくそう言うことではないかと思いますよ。」と申し上げました。
ダイエットに限らず、「症状別具体例」の中にもあります「生理痛」「頭痛」「めまい」と言った内科の問題に関わることにも、関節レベルの異常は非常に大きく絡んでいるんだと言うことを、私もこの10年の間に何度も実感して来ていることでもあります。
「血流の滞りが、あらゆる病の元になる。」と言う事は、何千年も前から医学の世界では言われて来たことです。昔からの健康法で、「乾布摩擦」「体を冷やすな」「呼吸法を実践しましょう。」「体操をしましょう。」と言うのも、体の血行を良くして代謝を上げることを目的としています。必然的に、自然治癒力も上がります。
よって、病気の予防にもなります。
新たな発見として、体の血行障害を引き起こす要因の中には、関節レベルの物理的な要因が実生活の中では多々絡んでいると言うことを、医学の立場から始めて証明してみせたのが、AKAでもあると思います。
関節に関する異常に関しましては、自力でなんとか出来ると言うものではありません。
また中途半端な、民間療法的な手法では正確に治す事は無理なのです。
特に根本の、仙腸関節を正確に治すには高度で特別な医療技術が必要となるのです。
「自力の整体術でなおせます。」などと言う話はあり得ないことなのです。
関節レベルの異常を放置したままで、運動をしすぎたりストレッチをやりすぎたりしますと痛みが益々酷くなると言うことが良くありますので注意が必要です。
「痛い」=「休め」と体に言っている訳ですし、「体が関節の治療モードに入りました。直ぐに治してください。」と警告していることも多々あるのです。残念ながら、ちまたに広がる健康法は、その段階で「運動モードに入れれば治ります。」と言ってしまうケースが非常に多くあり、判断を間違えますと、不必要な痛みを誘発させてしまって無駄に苦しむことも出て来ますので注意が必要です。
そして、今回の事例を見ても分かりますように、「精神的な問題」にまで関与してくると言うことも視野に入れておかなくてはいけません。人間は、痛みには非常に弱い生き物です。
痛みが長期間に渡れば、そのストレスから精神的な病を引き起こすことも十分に考えられることなのです。
残念ながら、そこまでのことを視野に入れ、あらゆるケースを考えた治療をすると言うような総合的な医療が行われているとはとても言えないのが今の医療現場のあり方です。
AKAを通じて、日々学ぶことがあるのですが、こうした話が正しい情報と言う形で世間に広く知られることになってくれることを願ってやみません。
民間で行われている「骨盤ダイエット」なるものは、やっていることの中味から推察しますと非常に危ういものでありますし所詮は「思い立ったら誰でもその日から始められる。」と言うレベルのものです。
「姿勢も良くなり、腰痛も消えて、ダイエットも出来る。」そんな夢の様な上手い話があるでしょうか?やっている方達の実態を知ればそのような事が出来るのが不思議であると言わざる終えないのです。
かえって、腰痛を悪化させてしまっているケースが沢山あるのではないかと心が痛みます。
マスコミに乗せられて、御自身が民間療法被害に遭わない様に十分にお気をつけください。
JMIは、ダイエットを目的としてやっている訳でもありませんし、そのような事を標榜してやっている訳でもありません。しかし、体全体の代謝が良くなることは確かです。痛みを引き起こしている最も多い要因である、仙腸関節の異常を医学的で正確な治療をして取り除きますと、物理的に体に与えていた様々なストレスから解放することにもなります。内科的、精神的にも不必要なストレスが無くなりますから、それがダイエットに繋がることも十分にあり得るのではないかと言うことは言えるかと思います。>